【開催のご報告】一橋大学・ストックホルム商科大学 共同シンポジウム「イノベーション・エコシステム」

一橋大学・ストックホルム商科大学共同シンポジウム「イノベーション・エコシステム~イノベーションを成功に導く鍵:スウェーデンと日本の起業プロセスからの学び~」を、2019年5月16日に学術総合センターにて開催いたしました。

本シンポジウムは一橋大学イノベーション研究センター、ストックホルム商科大学ハウス・オブ・イノベーション及び欧州日本研究所の主催、東洋経済新報社、ビジネス・フォーラム事務局、一橋大学フィンテックフォーラム、IMPPの協力のもとで開催されました。平日にもかかわらず100名を上回る参加者を得て、好評のうちに終了いたしました。

当日のプログラムはこちらからご確認ください。

 
 
 
 

セッション1「フィンテックの台頭」では、ミハル・グロメク 氏(サフェロ 最高執行責任者兼コンプライアンス責任者)に「スウェーデンのフィンテック・エコシステムの発展」をテーマにご講演いただきました。スウェーデンではフィンテックが急速に発展している一方で、法制度との整合性など、まだ多くの課題が残されていることが示されました。

 

さらに、佐々木大輔 氏(freee株式会社 CEO)に「日本におけるFintechの潮流とfreeeが目指す変革」をテーマにご講演いただきました。中小企業の生産性向上が日本経済の発展につながるという志に基づいて起業を行い、会計ソフトを足がかりとして、同社が大きく発展してきたこれまでの経緯と佐々木氏の個人的な思いを語っていただきました。

お二人のご講演を踏まえ、続くパネルディスカッションでは米倉誠一郎氏(法政大学 / 一橋大学)のモデレートのもと、野間幹晴氏(一橋大学)、グロメク氏、佐々木氏の間で活発に意見が交わされ、議論を深めました。フィンテックの発展には、技術者、経営者だけでなく法律家の協業が重要になることが議論されました。

また、この分野では日本の官僚も積極的に貢献する意欲があり、政策サイドとの密なコミュニケーションの重要性も浮き彫りにされました。

 

セッション2「イノベーションのシステムとマネジメント」では、まず、「日本におけるイノベーション・エコシステム創出の挑戦」をテーマに石井芳明氏(内閣府科学技術・イノベーション 企画官)にご講演いただきました。近年のスタートアップの状況の紹介に始まり、イノベーション促進のために日本政府や民間組織が進めている様々な施策を網羅的に紹介していただきました。

さらに、ゼリア・サキ 氏(バーチャサイズ 日本支社チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)に「顧客中心主義のイノベーション:スウェーデン・モデル」をテーマにご講演いただきました。そこでは顧客中心主義のイノベーション創出がどのようなプロセスで行われるのかを具体的な事例をもって丁寧に説明してくださいました。

 

続くパネルディスカッションでは、マッティア・ビアンキ氏(ストックホルム商科大学)のモデレートのもと、マーク・コンレー氏(ストックホルム商科大学)、石井氏、サキ氏の間で、日本とスウェーデンの比較を交えながら、多角的な視点からの議論が行われました。そこでは、イノベーションの持続的な創出にとっては、政策などのマクロプロセスと個人や組織単位のミクロプロセスの相互作用が鍵となることが議論されました。

最後にマーティン・コス氏(在日スウェーデン商工会議所 専務理事)にご挨拶をいただき、盛況のうちに終了いたしました。

ご参加・ご協力いただいた皆様、誠に有難うございました。