【お知らせ】米倉誠一郎特任教授の著書『イノベーターたちの日本史―近代日本の創造的対応』が刊行されました

米倉誠一郎特任教授の著書が4月28日、東洋経済新報社より刊行されました。

2017年04月28日発売
サイズ:四六判 上製 328頁
定価 2,160円(税込)
ISBN:9784492371206
旧ISBN:4492371206

彼らはどのように現状を破壊し、未来を創り出していったのか? アヘン戦争から太平洋戦争にまでのイノベーターたちの挑戦の歴史。

*東洋経済新報社のサイトはこちらです。
https://store.toyokeizai.net/books/9784492371206/

*読売新聞にとりあげられた書評(2017年6月4日 朝刊12面)の記事はこちらです。
http://hitotsubashiiir.blogspot.jp/2017/06/blog-post.html

 
■著者コメント
本書は、近代日本が開国近代化という荒波にいかに対応したかを描いたものです。
 最近では「日本人は創造的(クリエイティブ)でない」という議論を、外国人はともかく、日本人までがしているので、本当にそうなのかと問いかけました。ただし、日本人だけが「民族的に特別に創造的である」などという主張ではありません。日本人も、アメリカ人、イタリア人、中国人、韓国人、バングラデシュ人など世界中の人たちと同じように創造的でありイノベーティブな可能性をもった国民であるという主張です。もちろん、日本人全員がそうであるという主張でもありません。そのうちの中でも、自らの可能性に気づき、時代の波に創造的に対応し、新しい価値を付加することのできた近代の日本人の姿を描くことが本書の目的だったのです。
 「創造的対応」という言葉は、経済学者ヨゼフ・A・シュムペーターが一九四七年に書いた「The Creative Response in Economic History」という小論文で用いられた概念です。彼はこの小論文を、
 
経済史家と経済理論家は、もし彼らがそう望むなら、きわめて興味深くしかも社会的に価値のある旅を一緒に始めることができる。それは、これまで悲しいほどに無視されてきた「経済変化」という分野を探求踏査する旅である
 
と書き出しています。そして彼は続けます、「経済理論においてこれまで正当な評価を得ていない分野は、状況変化に対する対応の仕方には違いがあるという考察だ」と。 その違いとは、変化にただ「順応(an adaptive response)」することと、きわめて「創造的に対応(a creative response)」することとの違いなのです。その意味で、近代日本の対応は驚くほど創造的でした。