TGII

TGIIとは?

経済産業省、産業界と多摩地区の5大学(電気通信大学、東京外国語大学、東京農工大学、東京学芸大学、一橋大学)が組織した「多摩グローバルイノベーションイニシアティブ」(TGII)のことで、連携したイノベーション教育の実施により、「標準化人材の裾野拡大」を目的としたものです。当組織では標準化人材の育成策について検討を進め、具体案として連携して開催する年一回の特別講座(集中講座)「日本の将来を左右する国際標準化(ルール作り)を学ぶ」という形で実現させました。

この特別講座は、国が主導する「標準化官民戦略会議」の後押しをうけて、東京外大、東京農工大、電通大からなる西東京三大学連携を基礎に、さらに一橋大学と東京学芸大が協力して実施される日本で初めての画期的な講義です。「標準化」とは、工業規格などの技術の普遍的な基準を確立することであり、技術の普及や発展の前提を整えることを意味します。それはしばしば単なる「規格化」と混同されますが、「標準化」とはそれ自体が国際ルール作りの闘争であり、ダイナミックな交渉や調整のフィールドです。我が国では、この「標準化」への取組みが欧米や中国などに比べて弱かったために、技術開発の面での成功を、国際競争力での優位性に結び付けることに失敗してきたという苦い歴史をもっています。「標準化官民戦略会議」はこうした反省にのっとり、企業経営のトップに「標準化」が技術開発と並行した国際ルール作りの戦場であるという自覚を持たせるとともに、これから国際社会で活躍する若いエリート人材のなかにも、「標準化」についての理解とセンスを涵養しようと試みています。

背景

・2014年5月、標準化官民戦略が策定され標準化専門家が育成されてきました。そこでは、エンジニアを中心に、高い語学力、交渉力などの規格を策定するために必要な能力の育成が行われてきました。

・近年、標準化の対象は個別の技術からビジネモデルへと拡大し、標準化に関する素養はトップレベルの経営戦略層に必須となるとともに、一方では、実務レベルの企画・営業などの幅広い部門においても要求されるようになってきています。つまり、標準化知識の先鋭化(企業トップ)および裾野拡大が求められています。

・「標準化人材の裾野拡大」を目的とし、2017年に第一回目の集中講義を開催して以降、毎年開講しています。

特徴と実現する仕組み

【特徴】

①専門分野を問わない(文理関係なく受講可能とする)。
②学部生、特に学部1年を主な対象とする。
③多くの学生に標準化に興味を持たせ、加えて、コアな学生に基本的な標準化知識を教育する。

【仕組み】

①世界的な企業トップによる講演会を5大学で実施し、標準化の重要性を啓蒙する。
②その後、幹事大学において、5大学からの学生を集め集中講義(1週間)を実施する。
③「講演会」「集中講義」とも、学部1年生を想定し、分かりやすい事例から始める。
④一連の講演会・集中講義を通して、「特定企業の興味深い事例」→「基礎知識」→「分野ごとの特性」の順序で行うことにより、興味を持たせつつ、基礎から多くの分野の特性まで広く学ぶ。

実施内容

【集中講義】2019年度実施実績

✓9月2日(月)から6日(金)に電気通信大学で実施。

✓各日、3時限(13:00~)から5時限(~18:00)の計15回集中講義形式。

✓多摩5大学の学生(学部生、大学院生)は単位互換制度により受講できる(但し受講申請が必要であるので、各大学の教務課に問い合わせること)。

✓単位数:2単位

✓「標準化」(国際ルール作り)の定義、その歴史、さらに具体的な産業ごとの課題等を学びます。経済産業省の課長として「標準化」問題の最前線を知る一橋大学の江藤学先生の基礎的な講義のあとで、機械、電機・電子、通信、バイオなど多様な産業の具体的な事例に即して、そのリアリティを知ることができます。

実施スケジュール

9月2日(月)
# 分類 タイトル/内容 講師 担当大学 時限
1 共通 【標準化の基礎】標準化の概念・定義、目的、役割、分類、基本的な便益等について解説する。特に、身近なものについて標準が活用されていることを理解し、標準の持つ様々な側面と標準がビジネスに与える影響を考える。 江藤 学
(一橋大学)
一橋大学 3限
2 共通 【製品基準とビジネス】「標準」のうち最もわかりやすい製品標準を題材に、標準化や規制がビジネスにどのような影響を与えるのかを、様々な事例を見ながら検討する。標準化が基本的には「コストダウン」、「市場拡大」、「差別化」のツールであることを理解する。 江藤 学
(一橋大学)
一橋大学 4限
3 共通 【試験方法標準】試験検査標準は、製品標準とは異なるビジネス効果を持つ面もあるが、製品標準と同じビジネス効果も持つ。試験検査標準を活用した製品の差別化事例を中心に、試験検査標準のビジネス活用について学ぶ。 江藤 学
(一橋大学)
一橋大学 5限
9月3日(火)
# 分類 タイトル/内容 講師 担当大学 時限
4 共通 【認証ビジネス】標準化と一体に運用される認証ビジネスについては、市場開拓、企業価値創造、ブランド化などの面でビジネス戦略に取り込まれている。ここでは、認証ビジネスの効果、利用方法、ビジネス上の対策などについて、基本的な考え方を整理する。 江藤 学
(一橋大学)
一橋大学 3限
5 共通 【イノベーションと標準化】標準化はイノベーションにも大きな影響を与える。数多く開発される技術シーズをイノベーションに繋げていく中で、知的財産と標準化をどのように使い分けていくべきかについて、様々な事例を見ながら考える。 江藤 学
(一橋大学)
一橋大学 4限
6 分野別:
金融
【スタートアップエコシステムとルールメイキング戦略】FinTech(金融とITを融合した取り組み)に代表されるように、日本国内でもスタートアップ企業によって新たなサービスや変革が様々な業界にもたらされるようになってきている。市場規模が大きく、規制が厳しい金融・医療・不動産といった業界では、規制当局・既存の大手企業・スタートアップの3者による顧客保護を念頭に置いた連携促進が不可欠である。スタートアップ台頭によるビジネス変化の本質から、標準化までの動向を戦略コンサルタントであり、業界団体を兼務する立場から紹介する。 桜井 駿(一般社団法人Fintech協会事務局長) 一橋大学 5限
9月4日(水)
# 分類 タイトル/内容 講師 担当大学 時限
7 分野別:
通信
【通信の標準化】電気通信サービスにとって国際標準化は必須であり、ネットワークと端末、ネットワークとネットワークの間の接続プロトコル・インタフェースが標準化の基本的な対象となる。無線通信サービスの標準化ではさらに、使用する無線周波数の確保と有効利用という命題があり、新技術の導入を可能にする標準化が世界規模の枠組で継続してなされている。これらの仕組みと最新の動向について学ぶ。 奥村幸彦(株式会社NTTドコモ先進技術研究所) 電気通信大学 3限
8 分野別:電機/電 子 【電機・電子産業の標準化】電機電子産業における標準化の目的・意義について具体的な標準化活用事例を交えながら紹介する。最初に業界を取り巻く状況と最新の標準化動向、標準化を推進する目的・意義を説明。次に、具体的に戦略的標準化を実現するための商品・事業とそれに対するアプローチを解説。その上で、具体的に標準化活動を事業戦略へ展開し市場拡大に寄与した事例を紹介。更に、現在進行中の最新の具体的事例(家電/IoT等)を紹介し、標準化の位置付け・活用方法が変化し続けている事を説明、最後にこの様な状況下でグローバルで発生する課題と対応を解説する。 大隅慶明(一般社団法人日本電機工業会) 電気通信大学 4限
9 分野別分野別:農業 【農業分野の標準化と認証】農業において現在国際標準化が進んでいるのは、適正農業規範の分野である。工業分野の製品認証とは異なり、農業生産のプロセス認証によって、食品としての農産物の安全性、ひいては持続可能な農業を世界規模で推進することを目指している為、工業分野における、特定技術や製品の差別化とは様相を異にする。HACCP手法を基にした農産物加工の食品安全認証も同様の考え方だ。これら農業・食品分野に独特な動きを学ぶ。 今瀧博文(一般社団法人GAP普及推進機構GLOBALG.A.P.協議会) 東京農工大学 5限
9月5日(木)
# 分類 タイトル/内容 講師 担当大学 時限
10 分野別:バイオ/化学 【国際市場を開拓する標準化戦略】バイオ系、化学系の標準化には、製品性能規格や計測法の規格があり、これらに関する日本の技術は世界的にも高水準である。しかし、国際市場を開拓する上で必要不可欠な標準化戦略は、欧米諸国に比べ遅れを取っている。その中で、標準化活動をきちんと位置づけ、活動した事例を紹介し、自社の技術を標準化するには何が重要かについて検討する。 大野香代(産業環境管理協会) 東京農工大学 3限
11 分野別:自動車 【自動車分野の標準化】地球温暖化への対応として、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)等の次世代自動車の普及拡大は、自動車産業の重要な課題である。また、自動運転(自動走行)が世界的に大きな注目を集めている。自動車産業の競争力強化の観点から、今後さらに重要性を増す自動車分野の国際標準化について、その現況を学ぶ。 高木真人(公益社団法人日本工学会理事) 東京農工大学 4限
12 分野別:教育 【標準化と教育】教育は、どのような国民を育てていくのかという、いわば国家の在り方や国民的な価値観に直結することから、単純な「標準化」の議論には馴染みにくい部分も多い。しかしながら、課題発見・解決能力や情報活用能力などのいわゆる21世紀型コンピテンシーについては、国家間・文化間での差異は案外と少なく、OECDが実施するPISAをはじめとした国際的なアセスメント指標も浸透しつつある。また、高等教育段階では、学位のチューニングや単位の相互互換システムの構築、工学分野などにおける国際的なアクレディテーションの仕組みなど、「標準化」に親和的な動きが見られる。本講義では、教育をめぐるこうした複雑な状況を概観しながら、教育分野における標準化について考察する。 小宮山利恵子(リクルートマーケティングパートナーズ・スタディサプリ教育AI研究所所長) 東京学芸大学 5限
9月6日(金)
# 分類 タイトル/内容 講師 担当大学 時限
13 分野別:国際機関 【国際機関、国際交渉、標準化】日本の経済外交の基本戦略とともに、その主要テーマや分野別施策のなかでも、とくに国際標準化(ルールづくり)に関わる問題のリアルを学ぶ。 尾池厚之(内閣官房TPP等政府対策本部首席交渉官代理) 東京外国語大学 3限
14 分野別:グローバルビジネス 【国際交渉の経験】国際交渉の現場からの視点で、「オモテ」における発表・議論・討論、とりまとめ、あるいは「ウラ」でのロビーイング、関係者との意思疎通のはかり方等、スキルに重点をおいた国際交渉の現場について学ぶ。 泉 泰雄(オリエンタルコンサルタンツグローバル理事) 東京外国語大学 4限
15 共通 【まとめ】最終回は15回の講義の全体を振り返り、あらためて標準化の重要性を確認する。 江藤 学(一橋大学) 一橋大学 5限

【講演会】2017年度のみ実施

世界的企業のトップに、自社のビジネスにおける標準化の事例、重要性などについて語って頂いた。

・野間口有氏(三菱電機株式会社特別顧問、産業技術総合研究所最高顧問)

・小宮山利恵子氏(リクルート次世代教育研究院院長)

・友野宏氏(新日鐵住金株式会社相談役)

・中西宏明氏(株式会社日立製作所取締役会長兼代表執行役)

集中講義のアンケート結果

集中講義の前と後に受講者にアンケートの回答を依頼し、講義の満足度などを調査。結果は次の通り。

2017年 2018年 2019年
講義前 78人 82人 83人
講義後 76人 84人 80人

①アンケート回答数

②講義を聴講する理由
③講義の満足度
④講義の理解度
⑤講義による標準化理解度への効果

a:ほとんど知らない(講義前)-ほとんど知識は増えていない(講義後)
b:標準化されたものの存在は知っているが、その意味はあまり考えたことがない(講義前)

標準化されたものの存在を知ることができた(講義後)
c:標準化されたものが多数存在し、標準化されている理由も知っている(講義前)

標準化されたものが多数存在し、標準化されている理由を知ることができた(講義後)

d:標準化がどのような場所で誰によって行われているかを知っている(講義前)

標準化がどのような場所で誰によって行われているかを知ることができた(講義後)

e:規格作りや認証の仕組みについて説明できる程度に十分詳しい(講義前)

規格作りや認証の仕組みについて他人に説明できるような知識を獲得できた(講義後)

⑥講義の形式
⑦講義の構成

その他

✓この取り組みと実施効果を、IEC(国際電気標準会議/International Electrotechnical Commission)で発表。

✓同じくICES(International Cooperation for Education about Standardization)2018、ICES2019でも発表。