【お知らせ】清水洋准教授の著書「ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション―半導体レーザーの技術進化の日米比較」が刊行されました

清水洋准教授の著書が3月31日、有斐閣より刊行されました。

ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション―半導体レーザーの技術進化の日米比較
「幹の太い技術を育てること」と,「多くの果実をとること」の間の関係を探る
清水 洋 (一橋大学准教授)/著

2016年03月31日発売
A5判上製カバー付 , 380ページ
定価 4,752円(本体 4,400円)
ISBN 978-4-641-16469-7

さまざまな技術・製品に応用できる汎用性の高い技術=ジェネラル・パーパス・テクノロジーは,どのように生み出され進化していくのか。そのイノベーションのパターンにスピンアウトがどのような影響を及ぼすのか,日米半導体レーザーの発展プロセスから明らかにする。

有斐閣のサイトはこちらです
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641164697

■著者コメント
ジェネラル・パーパス・テクノロジーというのをご存知でしょうか。
これは、さまざまな製品やサービスに応用できる汎用性の高い技術です。

代表的な例は、蒸気機関です。
蒸気機関は、産業革命を牽引した重要な技術でした。
鉱山の揚水や蒸気機関車、蒸気船などに幅広く応用され、私たちの社会・経済を大きく変革しました。
このような技術は頻繁に生み出されるものではありませんが、そのインパクトは大きく、長期的に経済の生産性を上げ、私たちの生活も大きく変えていくものです。

このような技術は、どのように生み出され、進化していくのでしょう。
本書では、日本とアメリカのレーザーの進化のプロセスをケースとして、ジェネラル・パーパス・テクノロジーにおけるイノベーションを分析しています。

特に本書が注目しているのが、スピンアウトがどのようにイノベーションのパターンに影響をあたえるかという点です。
アメリカのシリコンバレーにける半導体産業の興隆以降、スピンアウトはイノベーションの重要な源泉の1つと考えられるようになりました。
既存企業では追究が難しいようなビジネス・チャンスを見つけて、飛び出していく企業家たちが大きく注目されてきました。
そのため、スピンアウトやそれを促すベンチャー・キャピタル、 あるいは労働市場の高い流動性、知識の波及効果をもたらすネットワークなどの整備が進められています。

しかし、本当にこれらの制度はイノベーションを促進するのでしょうか。
特に、汎用性の高い技術にはどのような影響があるのでしょう。
これが本書の背後にある素朴な疑問です。

日本とアメリカのナショナル・イノベーション・システムやスピンアウト、スタートアップ、イノベーションのパターンなどに興味がある方には、ぜひとも手にとって頂きたいと思っております。

受賞
2017年度(第33回)組織学会高宮賞(著書部門)
2016年度(第59回)日経・経済図書文化賞

書評等
★『企業家研究』14号(2017年)に書評が掲載されました。
  評者:生稲史彦氏 (筑波大学准教授)

★『HQ』(一橋大学広報誌)2017年夏号~の「時代の論点」で,著者の清水先生による「ジェネラル・パーパス・テクノロジーを巡るスピンアウトとイノベーション」という記事が掲載されました。

★『組織科学』50巻3号(2017年)に書評が掲載されました。
  評者:松本陽一氏 (神戸大学准教授)