MOTビジネスケース・MOTビデオシリーズ

MOT ビジネスケース・MOT ビデオ シリーズ 

■目的 

一橋大学イノベーション研究センターでは、技術経営(MOT)教育のインフラ充実を目的として、MOTに関する企業ケースの開発を進めている。近年、MOTの重要性がさかんに叫ばれ、多くの大学で教育プログラムが立ち上がろうとしているが、日本企業を題材としたMOT向けの教材が十分に用意されているとはいいがたい。イノベーションプロセスを研究対象とする当センターは、MOT教育の本格的な教材を提供することができる数少ない組織の1つであるという認識をもち、これまでケース開発に努めてきた。
 2003年度と2004年度は、テキスト主体とした従来のケースを補完するために、新たにビデオケースの開発を行った。MOT向けのケースの場合、どうしても技術的な詳細に触れざるを得ないことが多い。たとえ技術者であっても、分野が異なれば、テキスト情報だけでは技術的内容を把握することは難しい。そこで、テキスト情報をビデオで補完するという方法をとることとした。また、ビデオを通じて、実際にケースに登場する人々の生の声に触れることができるため、より現実感のある議論ができるという利点もある。

(1)MOTビジネスケース

2003-2004年度は以下のケースを開発した。これらのケースは一橋ビジネスレビューオンデマンドのMOTケースシリーズとして提供されている(http://www.bookpark.ne.jp/hbr/index.asp)。また一部のケースについては、部分的に改訂され『一橋ビジネスレビュー』に掲載されたため、そちらのケースとして販売されている。

1. 富士電機リテイルシステムズ(1):自動販売機―自動販売機業界での成功要因
2. 富士電機リテイルシステムズ(2):自動販売機―新たなる課題への挑戦
3. 富士電機リテイルシステムズ(3):自動販売機―飲料自販機ビジネスの実態
4. 東レ・ダウコーニング・シリコーン:半導体パッケージング用フィルム状シリコーン接着剤の開発
5. 日本開閉器工業:モノづくりから市場創造へ「インテリジェントスイッチ」
6. オリンパス光学工業:デジタルカメラの事業化プロセスと業績V字回復への改革
7. ハウス食品:玉葱催涙因子合成酵素の発見と研究成果の事業化
8. 前田建設工業:バルコニー手摺一体型ソーラー利用集合住宅換気空調システムの商品化
9. 京セラ(改訂版):温度補償型水晶発振器市場における競争逆転
10. 二次電池業界(改訂版):技術変革期における新規企業と既存企業の攻防
11. テルモ(1):組織風土の改革プロセス
12. テルモ(2):カテーテル事業の躍進
13. ヤマハ(1):電子音源に関する技術蓄積
14. ヤマハ(2):携帯電話着信メロディ・ビジネスの技術開発、ビジネスモデル構築
15. 東レ(1):東レ炭素繊維複合材料「トレカ」の技術開発
16. 東レ(2):東レ炭素繊維複合材料「トレカ」の事業戦略
   (以上、2本のケースは東レ経営研究所との共同開発による)

(2)MOTビデオケース

上記ケースの一部については、以下 (1~5)のとおり、補完的なビデオケースを作成した。全てテキスト情報を補完することを目的として作られているため、テキストと一緒に利用されることが望ましい。

1. 富士電機リテイルズシステムズ:自販機事業での成功要因と新たな課題への挑戦(53分)
2. 日本開閉器工業:モノづくりから市場創造へ インテリジェントスイッチの開発と市場開拓
   (15分)
3. 東レ・ダウコーニング・シリコーン:半導体パッケージング用フィルム状シリコーン接着剤の開発   (25分)
4. 東レ:炭素繊維複合材料『トレカ』の技術開発と事業戦略(34分)
5. テルモ:風土改革とカテーテル事業の躍進(54分)

  ※ 以下(6~7)はビデオケース(ティーチング・ノート付)のみです。
     テキスト版は作成しておりません。

6. アンジェスMG株式会社:大学発ベンチャー (32分)

  アンジェスMG株式会社(以下,アンジェスMG)は、大阪大学の森下竜一教授らが中心となり設立されたゲノム創薬企業で、大学発ベンチャーのIPO第一号である。①遺伝子医薬の研究・開発、②新規ベクターの研究・開発、③遺伝子医薬の製造と安全性試験、の3領域を主な事業領域としている。同社の特色の一つは、成長段階に合わせた経営者の入れ替えを進め、創業者企業から、プロフェッショナル・マネージャー企業への成長を図ってきた点である。130億円を調達した東証マザーズ上場(2002年9月)、国内外の大手製薬企業との間での共同開発、販売提携などのアライアンス構築など、事業の立ち上げも急速に進んでいる。

  21世紀の日本は、知識社会に突入し、新しい形の産学連携がますます重要性を増している。『アンジェスMG株式会社:大学発ベンチャー』では、アンジェスMGの創業者である森下竜一取締役、および、現社長である山田英CEO両氏へのインタビューを素材に、高度な知識集約型企業が、どのように大学から企業への技術移転を果たし、資金調達、事業化を成し遂げたか、をテーマに掲げ、アンジェスMGの胎動のプロセス、現在のマネージメント、および、今後の課題に対する考察を深める素材になっている。

  具体的には「不確実性の非常に高い技術開発を主な事業とする企業の技術経営(MOT)には、どのような工夫が求められるのか」、および、「それらの工夫を実践していく際には、どのようなトレードオフに直面するのか」、の2点の学習ポイントに関する教育素材として有効である。

7. 株式会社IRIユビテック:技術融合による企業価値の創造 大企業とベンチャー企業 (34分)

  株式会社IRIユビテック(以下、IRIユビテック)は、1977年創業の電子部品開発会社タウ技研が、2001年に、株式会社インターネット総合研究所(以下、IRI)に買収されて成立した。買収前のタウ技研は、新日鉄の資本参加を受け、液晶プロジェクタ、複写機、両替機等の基幹基板の受託開発・生産を主要事業としていた。このタウ技研が、インターネット関連企業のIRIの傘下入りに伴い、急速に、電子部品関連技術と、インターネット関連技術との融合を進めている。株式市場も、この技術融合を高く評価し、同社の企業価値は、買収から、2005年の上場までの4年間で30倍以上に向上している。

  『株式会社IRIユビテック:技術融合による企業価値の創造 大企業とベンチャー企業』
では、 IRIユビテックの現経営
陣である荻野司代表取締役社長、木津修治常務取締役電子機器事業部長、および、藤原洋会長(兼IRI所長)各氏へのインタビューを中心に、大きな企業価値向上の源泉となった技術融合の類型、多様性と、そのマネージメントのポイントについて考察を深める内容となっている。また、新日鉄傘下時代のエピソード等も紹介し、大企業とベンチャー企業とのイノベーションのマネージメントの違いについても興味深い議論を触発する素材となっている。

  具体的な学習ポイントは、「企業価値の向上につながるイノベーションの特徴、および、そのマネージメントには、どのような特徴があるのか」、および、「大企業では、なぜ、上記の各特徴が発揮できないのか」の2点である。

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 本開発にかかった費用の多くは、経済産業省「企業家育成プログラム等導入促進事業」と「技術経営人材育成プログラム事業」に依存しているが、一部、文部科学省「21世紀COE(Center of Excellence)プログラム」からの助けも得ている。ここに感謝の意を表したい。また本事業では委託元の三菱総合研究所の協力も得た。2003年度に関しては森ビル株式会社の協力得た。あらためてお礼を申し上げたい。

■貸し出しについて(MOTビデオケース)

MOTビデオケースの貸し出し規定は以下のとおりです。対応するケースのテキストは、お手数ですが一橋ビジネスレビューオンデマンド(http://www.bookpark.ne.jp/hbr/index.asp)からご購入ください。
教育者・研究者の方向けにはアカデミック・ディスカウントがあります。

・ 貸し出し期間 1ヶ月
・ 貸し出し形態 (1)MOTビジネスケースの1~16全巻はVHSビデオのみです。
         (2)MOTビデオケースの1~7はDVDです。
・ 費用 無料
   ただし、送料はご負担いただきます。受取人払いでお送りします。
   利用後は、送料ご負担の上、ご返送ください。
・ 申し込み方法
   以下のEメールアドレスにメールにてお申し込みください。
    一橋大学イノベーション研究センター研究支援室
            Email:chosa☆iir.hit-u.ac.jp(☆を@に変えてください
    〒186-8603 東京都国立市中2-1

・ 利用上の注意
   本ビデオケースは教育目的で開発されたものです。
   有料・無料を問わず、ケースディスカッションの題材としてご利用下さい。
   ただし、ケースディスカッションを伴わない、有料のビデオ上映会はお控え下
   さい。
   本ビデオケースの著作権は全て一橋大学イノベーション研究センターに帰属し
   ます。
   DVDの複製は違法となりますのでお控え下さい。