寄付研究部門について

寄附研究部門 

名称
 藤原洋ベンチャーファイナンス寄附研究部門

研究内容    日本におけるベンチャーファイナンスの研究を促進するとともに急成長する技術志向ベンチャー企業を支援する専門的財務担当者の育成を目指す。

寄附者     株式会社インターネット総合研究所長 藤原 洋
期間 2002-2007年度
担当教授    藤村修三

 
  当イノベーション研究センターは、株式会社インターネット総合研究所代表取締役所長藤原洋氏のご寄附により、日本におけるベンチャーファイナンス研究の進展と将来の
CFO(最高財務担当役員)養成を目指して、2002年4月、藤原洋ベンチャーファイナンス寄附研究部門を開設しました。
 今日、日本における新規ビジネス、特に高度な技術に基づいたハイテク企業の育成が急務であるにもかかわらず、そうした技術志向のベンチャー企業の成長を支援する専門的財務担当者の育成がはなはだ遅れているといわざるをえません。日米の開廃業率を比較すると依然3倍近い格差があります。こうした状況を鑑み、自ら東証マザーズ上場第1号を果たした技術者集団であるインターネット総合研究所長藤原洋氏は、ベンチャーファイナンス研究およびCFO育成を目的とした寄附研究部門を当イノベーション研究センターにご寄贈くださり、開設の運びとなりました。
 すでにアメリカでは、上場を果たした新企業の経営者がそのキャピタルゲインを大学に寄贈し、知識のさらなる好循環を生み出すことが常態となっています。スタンフォード大学をはじめとしてアメリカの大学にはこのよう目的をもった寄附講座や建造物が数多く見受けられます。この度の試みはこうしたダイナミックな知の循環を日本で体現する新たな試みであり、新たな産学連携の第一歩であります。
<寄附者藤原洋氏の概要>

1954年生。工学博士。1977年京都大学理学部宇宙物理学科卒業。日本アイ・ビー・エム株式会社、株式会社アスキーを経て1996年、アカデミズムにより発展してきたインターネット運用技術を産業分野へ広く適応させ、理想的なネットワーク社会の創造を目指して株式会社インターネット総合研究所を設立。政府および学術プロジェクトと連携した最先端のネットワーク技術に関する研究開発や、多方面の産業分野にわたる共同事業に取り組んでいる。
<担当教授藤村修三より>

 低迷する日本経済の再興と活性化の推進役としてベンチャーによる新産業の創生が期待されています。この社会的ニーズを受け、国、地方自治体、大学、産業界それぞれがベンチャー育成に向けて努力を重ねていますが、残念ながら十分な成果が現れているとは言い難い状況です。懸案であった資金調達事情は、ここ数年公的な資金に加え、ベンチャー・キャピタル等による民間資金の充実もあり、以前に比べずいぶん改善されてきているように思います。しかし、それら資金が効果的に投資されているのか、あるいは効果的に運用されているのか、と言う点に関してはまだまだ疑問符を付けざるを得ません。ベンチャー育成が期待されるほど進まない要因の一つには、そうした資金の活用に際して、投資する側される側の双方に未成熟な部分が多々あるという点が挙げられるでしょう。この投資する側される側双方が納得し共に利益を上げることにより社会貢献を果たす道を探ること、すなわち資金の適切かつ有効な利用を図ることを通じて、創業事業が育つ道を見つけ出すこと、それがベンチャー・ファイナンスです。
 この資金の有効活用において、特に我が国で理解が進んでないように見受けられるのが、創業の核となるアイデアや技術の性質に応じた事業育成と言う観点です。ベンチャー起業において多く語られるストーリーの一つは、一つのアイデアを基に起業した創業者がベンチャー・キャピタルなどの支援により、創業から数年の内に株式公開を果たし大金持ちになると言う成功物語です。しかし、必ずしもそれが全てのアイデア、全ての技術に適した成功への道のりではありません。時間をかけた地道な努力の末大きく花開く事業もあります。本講座では創業の核となるアイデアや技術の性質とそれに適した育成プログラムとそのためのファイナンスについて考えようと思います。
 皆様には、本講座を内容のある充実したものにするため、御指導御鞭撻を下さいますようお願いいたしますと共に、積極的なプログラム参加をお願いいたします。