モバイルイノベーション研究プログラム
モバイル・イノベーション研究プログラム(MIRP)は大きく二つの狙いを持っている。一つは、モバイル・コミュニケーション、モバイル・コンピューティングをめぐる産業、市場、ビジネスについて主として経営学、経済学など社会科学の視点から実証研究を進め、実務家、政策担当者、研究者にとって有益な知見を提供することである。もう一つは、日本の大学における経営学研究の新しいインフラを作ることである。産業界と連携しながら、内外の研究者によるオープンな研究体制を構築し、従来日本にはなかった、研究の支援と研究者の育成のための仕組みを構築する。
■概要
MIRPは、5つの企業(株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社、J-フォン株式会社、日本電気株式会社、富士通株式会社)の支援をえて、2001年度よりスタートし、一年ごとの更新を重ねている(2003年度の支援企業は株式会社NTTドコモ、J-フォン株式会社、富士通株式会社)。この期間を通じて、①内外の研究者(大学院生を含む)の研究活動の支援、②研究会活動の実施、③国際的な研究交流の実施をすすめ、これらの活動を通じて研究成果を生み出していくことが目標である。
■2003年度の活動報告
2002年度にMIRPが研究活動を支援した研究者とその研究内容、成果の概略は以下の通りである(*は大学院生を指す)。
1. ジェフェリー・ファンク(一橋大学イノベーション研究センター教授):モバイル・インターネットの進化とその国際比較について研究を継続。
2. 神岡太郎(一橋大学大学院商学研究科・助教授):モバイルを用いた、あるいは組み合わせた新しい用途の研究。情報ネットワーク関連の講義で学生と一緒にモバイルの可能性を探るプロジェクトを実施。武石と共同で商学部講義eコマース・ケーススタディを担当。
3. 武石彰(一橋大学イノベーション研究センター・教授): Tokyo Mobile Roundtableの企画、開催に従事。着信メロディ・サービスに焦点をあてながら、モバイルの発展とコンテンツ・ビジネス(音楽)の進化についての研究に従事。神岡と共同で商学部講義eコマース・ケーススタディを担当。
4. 米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター・教授): Tokyo Mobile Roundtableの企画、開催に従事。モバイル分野におけるスタートアップ企業の動向/課題、ゲーム産業の動向などの研究に着手。
5. 李京柱*(一橋大学大学院商学研究科・博士課程):着信メロディ・サービスに焦点をあてながら、モバイルの発展とコンテンツ・ビジネス(音楽)の進化について研究。
■Mobility Roundtableの実施
日米欧の研究者の協力により、Mobility Roundtableと称する、一連の国際会議(第一回:東京(2002年5月)、第二回:ストックホルム(2003年5月)、第三回:米国テキサス州・オースチン(2004年3月))を運営している。目的は、モバイルに関連する経営学、経済学その他社会科学分野における国際的な研究活動の促進、国際的な研究者の継続的なネットワークの実現、そして国際的な産学連携の促進にある。以下の日本、アメリカ、フィンランド、スウェーデン、香港の研究者が組織委員会を形成し、日本はMIRPがその推進母体となっている。Mobility Roundtableは、MIRPの企画準備のプロセスを通じて提案、合意された計画であり、MIRPの立ち上げがきっかけになって実現したものである。それぞれのラウンドテーブルの概要は以下のURLに示されている。
1. Tokyo Mobile Roundtable:http://www.iir.hit-u.ac.jp/reserch/tmrt_e.html
2. Stockholm Roundtable:http://web.hhs.se/cic/about/roundtable.htm
3. Austin Mobility Roundtable:http://www.mccombs.utexas.edu/events/roundtable/
ラウンドテーブルは今後もアジア/日本、北米、欧州持ち回りで実施する予定であり、次回は2005年6月に香港で行われる(http://www.hongkongmobility.ust.hk/)。
■MOBILE ROUNDTABLE COMMITTEE