「科学における知識生産プロセス」ワークショップ 2010.10.4

「科学における知識生産プロセス」ワークショップ
  日時: 2010年10月4日(月)午後1時半から 
会場: 霞ヶ関ビル30階(千代田区霞が関3-2-5) 
     文部科学省科学技術政策研究所 会議室 (3026会議室)
主催: 一橋大学イノベーション研究センター、文部科学省科学技術政策研究所
  ワークショップの目的:
 科学を基盤としたイノベーション創出の強化が重要な課題となっていますが、科学における知識創造過程や科学知識からイノベーションが創出される過程についての、プロジェクトレベルの体系的実証研究は、日本のみならず世界的にも存在していないのが現状です。
 これを踏まえて、一橋大学イノベーション研究センターと文部科学省科学技術政策研究所の共同研究(文部科学省の特別教育研究経費及び科学研究費補助金の助成を受けて実施しています)により、「科学における知的生産プロセスに関する調査」を、2009年12月から実施し、日本の約2,100名の科学者のご協力を得ることが出来ました。
 この調査では、日本が関与している論文で、被引用数が上位1%および無作為抽出された論文を対象とし、その著者に論文を生み出した研究プロジェクトの情報などについて尋ねました。
 これまでに、研究チームの構成(論文著者の職位や専門分野など)、使用した研究資金額、研究資金の資金源、研究プロジェクトの発想に用いた知識源、研究プロジェクトから生み出された論文等のアウトプットなど、研究プロジェクトの情報についての包括的なデータセットを構築し、基本的な集計作業を行いました。
 本ワークショップでは、本調査の集計に基づいた概要のご報告をするとともに、それを踏まえ今後の研究マネジメントの在り方、科学技術政策の課題、”Research on research”などにつき、意見交換を行います。
  プログラム(予定)
    開会  (1時30分)
ご挨拶 文部科学省科学技術政策研究所所長 桑原 輝隆
はじめに

第1部 1時40分から 調査結果のハイライトの紹介
  司会 楡井 誠, 一橋大学准教授

   調査の設計と実施、回答者属性    (20分)  伊神 正貫, 科学技術政策研究所主任研究官
   科学研究のプロセスとマネジメント  (20分)  長岡 貞男, 一橋大学教授
   研究チームと研究資金         (20分)  伊地知 寛博, 成城大学教授
   研究成果とインパクト          (20分)  江藤 学, 一橋大学教授
   (フロアからのQ&A) (40分)
 

  第2部 4時から 調査結果の含意と今後の研究への課題(パネル討論):
            今後の研究マネジメントの在り方、科学技術政策の課題、”Research on research”
  司会 長岡 貞男, 一橋大学イノベーション研究センター教授   コメント 青木 玲子, 一橋大学経済研究所教授, 総合科学技術会議議員
   コメント 桑原 輝隆, 文部科学省科学技術政策研究所所長
   コメント 大湾 秀雄, 東京大学社会科学研究所教授
   コメント 若林 克法, 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点独立研究者

閉会  (5時30分)

  参考) サーベイのいくつかのキークエスチョン
(1) 日本で活動する科学者による研究プロジェクトは、どの程度の頻度で純粋基礎研究(ストークスの分類で言えば「ボーアの象限」)にあり、どの程度の頻度で目的基礎研究(「パスツールの象限」)や応用研究(「エディソンの象限」)にあるのか。
(2) 着想から国際的な研究業績までにどの程度の時間を要するのか、この間の研究資金をどのように確保しているのか。
(3) 研究におけるグローバルな競争の状況や自らの研究の位置づけを事前にどの程度、科学者は認識しているのか。
(4) 研究においてセレンディピティーはどの程度重要なのか、どのような研究でそれが生まれやすいのか。
(5) 日本の研究チームはどの程度に学際的、分野融合的、国際的なのか。研究者の組織間の移動はどの程度頻繁に起きているのか。
(6) 研究プロジェクトのマネジメントとしてどのような取り組みを行っているのか。
(7) 研究の成果を論文の他、どの程度特許化しているのか。リサーチ・ツールの生産はどうか。
(8) 研究成果をベースとしたイノベーションがどのようなルート(ライセンス、標準への貢献、産学連携研究、スタートアップ、技術指導など)で、どの程度の頻度で生じているのか。