【一橋ビジネスレビュー】 2018年度 Vol.66-No.4

2018年度<VOL.66 NO.4> 特集:NEXTユニコーン –スタートアップの新しい形









12・3・6・9月(年4回)刊編集

一橋大学イノベーション研究センター
発行 東洋経済新報社






特集:日本にも「NEXTユニコーン」と呼ばれる新しいスタートアップが出現してきている。上場前にすでに時価総額が1000億円を突破する企業群をユニコーンと呼ぶが、ユニコーンの予備軍が、100億円以上の企業価値を持つNEXTユニコーンである。彼らはこれまでのベンチャー企業とは一線を画する事業戦略や経営資源(人材・技術・資金・ネットワーク)動員を可能としているように見える。本特集では、日本におけるユニコーンやNEXTユニコーンを、創業者自身と研究者が共同執筆者となって、創業の経緯と経営資源の動員の手法から分析し、21世紀の日本経済を牽引する企業のあり方について一定の展望を提供することを試みたい。


特集論文Ⅰ freee――起業に至る転職キャリア形成
カン・ビョンウ佐々木大輔
(一橋大学イノベーション研究センター専任講師/freee株式会社 CEO)
現在、ITと金融の融合によって未曾有のビジネスチャンスが生まれ、さまざまなスタートアップがその存在感を強めている。なかでもfreeeは金融業界のNEXTユニコーンとして注目を集めている。本稿では、創業者でありCEOの佐々木大輔とともに起業ヒストリーを振り返り、freeeのビジネスモデルがどのように構築され、その事業がどう拡大していったのかについて考察する。

特集論文Ⅱ ラクスル――日本型起業エコシステムの展望
島本 実/小林信也/松本恭攝
 (一橋大学大学院経営管理研究科教授/一橋大学大学院商学研究科修士課程/
  ラクスル株式会社代表取締役社長CEO)
斬新な発想で印刷業界に大きな変化を巻き起こしたラクスル。本稿では、創業者である松本恭攝と松本の事業の足跡をたどる。遊休印刷機械をインターネットで結びつけ、効率的に活用することで、ラクスルは中小企業が大手企業の下請けから脱する新たなプラットフォームを築き上げた。その後、同社は輸送業界の遊休車両を活用するハコベルでさらなる成長に向かっている。同社の成長過程からは、現在、日本でもスタートアップを中心に優秀な人材のネットワークが拡大し、実績のあるアントレプレナーたちが自分の認める人材を支援するエコシステムが生起しつつあることがわかる。これを属人的なステージからよりアクセシビリティーの高いシステムにすることが、日本のスタートアップの未来を左右することになるだろう。

特集論文Ⅲ TBM
――社会的な課題をビジネスに転換するグリーン・アントレプレナー
清水 洋/山口健俊/山﨑敦義
 (一橋大学イノベーション研究センター教授/一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース/株式会社TBM 代表取締役CEO)
地球環境が抱える課題を技術的なイノベーションによって解決する企業家は、グリーン・アントレプレナーと呼ばれる。LIMEXという新しい素材で水資源やプラスチックなどの課題を解決するTBMは、日本発のグリーン・アントレプレナーであり、NEXTユニコーンとして国内だけでなく、海外からも大きな注目を集めている。環境負荷の小さい素材への注目は、ヨーロッパなどの先進的な国々で高まっている。本稿では、TBM創業者の山﨑敦義が、どのようにビジネスを構築してきたのか、いかに経営資源を獲得していったのかを見ていこう。リーダーが提示するビジョンの重要性がよくわかるに違いない。

特集論文Ⅳ セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ
――世の中にないものを創り出す
米倉誠一郎/前澤優太/阪根信一
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授、一橋大学名誉教授/
 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科修士課程/
 セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社 代表取締役社長
全自動衣類折り畳みロボット「ランドロイド」を開発・製造するセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズは、2011年に創業されたきわめて新しい企業である。創業者の阪根信一は、祖父・父ともにスタートアップ経験者という企業家家族の出身であり、アメリカで博士号を取得した経歴もある。この企業がユニークなのは、父親の経営する企業での修業から始まりスピンアウトしたことである。本稿では、セブンドリーマーズのファミリービジネスを起点とした創業経緯と経営資源動員のプロセスを、創業者の阪根とともに考察するものである。世の中に存在しないものをコンシューマー向けにゼロベースで開発・製造し、世界に愛されるブランドをめざす、という同社の高い志と夢にかける企業のあり方から、今の日本が学べることは多いだろう。

特集論文Ⅴ エリーパワー
――卓越したテクノロジーマネジメントによるリチウムイオン蓄電システムの事業化
和泉 章/[協力]吉田博一
一橋大学イノベーション研究センター教授/エリーパワー株式会社 代表取締役社長
エリーパワーは、2006年に吉田博一が創業した大型リチウムイオン電池および蓄電システムなどを開発・製造・販売するベンチャー企業である。吉田は、住友銀行副頭取、住銀リースの社長・会長を歴任し、慶應義塾大学大学院教授を経て69歳でエリーパワーを創業した。本稿では、吉田がエリーパワー創業を決意するまでの経緯や創業の際に掲げた理念・経営方針について論じる。さらに、同社が335億円もの資金を調達し、2つの国内工場を立ち上げ、累計3万6000台以上の製品を出荷するまでに至った、独創的な材料開発や完全自動化製造プロセス開発などの卓越したテクノロジーマネジメント、経営の独立性を確保するための資金調達と株主構成、ブランド化をめざした製品開発、需要に先行した設備投資などのビジネス戦略について明らかにする。

[連載]全員経営のブランドマネジメント

[第1回]ブランドがなぜ、今、重要なのか
鈴木智子
(一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻准教授)

[連載]日本発の国際標準化 戦いの現場から
[第6回]太陽光発電 ――台頭する中国と、日本・諸外国の対応
江藤 学/鷲田祐一
(一橋大学イノベーション研究センター教授/一橋大学大学院経営管理研究科教授)

[連載]フィンテック革命とイノベーション
[第7回](最終回)フィンテック企業と伝統的金融機関の経営
野間幹晴/藤田 勉
(一橋大学大学院経営管理研究科准教授/一橋大学大学院経営管理研究科特任教授)


[ビジネス・ケース]

ベネッセアートサイト直島――コーポレートアイデンティティーと地域振興
新田隆司/山口翔太郎/清水 洋
(一橋大学大学院経営管理研究科博士課程/
 メリーランド大学カレッジパーク校スミススクール経営組織研究科修士課程/
 一橋大学大学院イノベーション研究センター教授)
瀬戸内海に浮かぶ人口およそ3000人の小さな島が、世界から大きな注目を集めている。それは、香川県の直島である。直島はもともと小さな漁村があった島であったが、銅の製錬産業の誘致に成功し、財政的には比較的豊かになった。しかし、世界から注目されるような島では決してなかった。どのように、直島はこれほどまでに注目されるようになったのだろう。大きく進展するのは1985年以降ベネッセホールディングスと福武財団が活動を始めてからであった。それは、経済優先ではなく、ベネッセの企業理念である「よく生きる」と地域・歴史が共存できる道を探る試みであった。ベネッセはどのようにして、直島をこれほどまでに多くの人々を魅了する地域へとつくり上げていったのであろうか。本ケースでは、地域振興という点で類いまれな成果を上げた直島とベネッセの歩みをたどりながら、新たに地域振興を考える地域と企業に対しての示唆を探っていく。

日本光電工業――AEDの開発・事業化プロセス
河野英子/大沼雅也/福嶋 路/青木成樹/竹内竜介/髙石光一
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授/
 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授/
 東北大学大学院経済学研究科教授/
 株式会社価値総合研究所 上席主席研究員/
 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授/
 亜細亜大学経営学部教授
昨今、救命救急の現場でAED(自動体外式除細動器)の重要性が注目されている。学校、公共施設などでAEDの設置が進み、使用するための訓練も数多く行われるようになった。医療知識を持たない一般市民が、AEDを使用し救命するケースも見られるようになるなど普及が進んできている。日本光電工業は、日本唯一の国産AEDメーカーである。AED後発国である日本において、日本光電はどのように市場を開拓してきたのだろうか。なぜ先行する欧米メーカーに伍して、国内シェア・ナンバーワンを獲得することができたのだろうか。本ケースは、同社のAED開発および事業戦略について考えるものである。

[ポーター賞]

第18回 ポーター賞受賞企業に学ぶ
大薗 恵美
(一橋大学大学院経営管理研究科教授)

[マネジメント・フォーラム]
インタビュアー/米倉誠一郎
日本のイノベーションはこうして取り戻せ
アニス・ウッザマン
(フェノックス・ベンチャーキャピタル 共同代表パートナー兼CEO)

私のこの一冊

実学としてのマーケティング」現場に役立つ学問のために!
   ――石原武政『「論理的」思考のすすめ─感覚に導かれる論理』
髙橋広行
同志社大学商学部准教授


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