一橋大学イノベーション研究センター

センター長あいさつ

一橋大学イノベーション研究センターは、日本で初めてイノベーションという名のついた社会科学の研究センターとして1997年に設立されました。
以来、イノベーションの重要性はますます高まっています。少子高齢化、エネルギー/環境問題、国際競争力の低下、社会保障費の増大、貧富の差の拡大など、私たちの社会は多くの課題を抱えています。従来のやり方を続けている限り、これらの課題を根本的に解決することはできそうにありません。技術、組織、制度、社会システムなど、様々な側面において、現在社会はイノベーションを必要としています。

イノベーションは単なる技術革新ではありません。革新的なアイデアが、製品、サービス、組織、制度などとして実現して、それらが社会に受け入れられて初めてイノベーションと認識されます。それゆえイノベーションの創出過程は、多くの人々を巻き込んだ、すぐれて社会的な過程です。

この過程を解明すること、つまり、「なぜ、どのように、イノベーションは生じるのか」という問いに答えることが、われわれの研究の主な目的です。ただし、過去からの断絶を含む革新であるイノベーションの多くは、高い不確実性の下で起きる特異な現象であり、従来の学問体系の下では、必ずしも適切に説明することができません。それゆえ、イノベーションという現象の解明は、結果として、新しい学問分野の創造を必要とします。つまり、われわれは、イノベーションという現象を追いかける過程で、自らの学問体系にイノベーションを起こさなければなりません。その試みは今後も継続していきます。

イノベーションが人々のオープンなやりとりから生じるように、イノベーション研究の発展もオープンな環境を必要としています。イノベーションという現象を解明するには、世界中の研究者が活発に交流して、知力を結集する必要があります。われわれは、世界のイノベーション研究の日本におけるハブとなり、そのようなオープンで創造的な場を自ら作り出していきます。

またわれわれは、単に研究成果を発表するだけでなく、それをイノベーションの場に積極的に応用することによって、イノベーションを活性化したいと考えています。それゆえわれわれは、イノベーション研究のハブとしてだけでなく、実務家と研究者が出会い、創造的交流を行う場としても発展していきたいと考えています。

イノベーションは一人では起きません。多様な人々の出会いが必要です。研究者か実務家は問わず、出会いと気づきの場として、このホームページを含めイノベーション研究センターを訪れていただければ幸いです。

イノベーション研究センター長
青島 矢一

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